金田式ハイブリッドパワーアンプNo.118         
  
ここをクリックすると最新の更新にジャンプします 最終更新 2025/06/25
  
1990/9 無線と実験誌掲載 DCアンプシリーズ No.118 ハイブリッドDCパワーアンプ 2007/12/12

1990年当時に製作したハイブリッドパワーアンプの残骸です。
おそらく金田氏が最初に真空管を使用したアンプだったはずです。
真空管6AU6とトランジスタ2SA649・2SD218のハイブリッド。
34W(8Ω)2重NFBループ方式。
電源部はオリジナルは電池(ナショナルネオハイトップ)駆動だったのですが、電池代を考えるあっさりと商用電源に変更。
A級30Wを分解したものを使用していました。バラック組をして試運転までやってお蔵入りになった悲運のアンプです。
別に問題があったわけでもなく、いい音出てましたが、、、、、。時間ができたら復活させてやりましょう。
   

別電源にしたので本体はコンパクト

部品はかなりオリジナルに近い
 
パワートランジスタは2SA649と2SD218
入出力パネル
電源が複雑なのでコネクタが4個も
  
どういう訳か2SA649・2SD218のコンプリが使用されています。
A級30Wの残骸で作ったのか??記憶にありません。
今はお宝の649と218もA級30Wを作ったころには当然のことながら秋葉原のダイデン商事で普通に売っていました。
  
  
製作再開 2025/03/18
 
昨年のMJ誌のバックナンバーを見ていたらNo.290は真空管とトランジスタのハイブリッドアンプでした。
記事の中で最近はSiC MOS-FETを使用しているが、バイポーラトランジスタを眠らせておくのはもったいないとのこと。
そういえば我が家にも金田氏の最初のハイブリッドアンプの名残が残っているではないですか。 金田氏が最初にハイブリッドアンプの記事を掲載したのが無線と実験(現在のMJ)1990年9月号でした。 
突然1990年に真空管のプリとパワーアンプが登場し、その後ハイブリッドの記事が出ていたかと思います。
このアンプなんと電池式でネオハイトップの単三電池を80個、006Pを3個も使うというランニングコスト度外視のアンプでした。
おそらく実験的な位置づけだったのかもしれません。
製作当時そんなに電池を使うアンプなんて実験室では可能でも、個人が使うなんてまず無理な話なので、当然トランスを使ったAC電源にしました。 ヒーターはDC点火にしましたが、高電圧部分を安定化したかどうかは覚えていません。
そんなことで、次回製作の金田式アンプはNo.118の復活にします。
名残といっても真空管(6AU6)とヒートシンク位ですが、当時の金田式パワーアンプの部品はかなり手持ちがあるので抵抗・コンデンサ位を購入すれば部品はそろいそうです。
オリジナルはほぼB級の34Wですが、A級アンプ好きな私としては、どうせならアイドリングはたっぷり流してやりましょう。
とりあえず部品集めから。
 
部品集め 2025/03/24
 
納戸を探り部品を集めてみました。
 
 
手持ちの主要部品
 
真空管6AU6とドライバーTR
  
  
パワー段Tr
 
トランス類
  
パワー段のトランジスタは手持ち最後の2SA649と2SD218の2ペアです。 Hfeは少しばらつきが大き目ですが最後の活躍をさせてあげましょう。 ドライバー段のトランジスタはオリジナルでは2SA606と2SC959のペアですが2SC959の手持ちの10個はHfeが低い(Nランクが多い)ので2SA606とのペアがとれず2SA653と2SC1161を使うことにしました。
2SA649と2AD218は最初にこのタイプのアンプを作った時のものだったようです。  35年ぶりに復活させてあげましょう。
真空管用のトランスも当時のものが残っていました。 パワー段用はケンウッドのアンプから外したものを流用です。
これから少しづつ不足のパーツを買い足していきます。 HMA-9500Ⅱのようなアンプの製作も進行中なので完成時期は未定ですが。
 
プリント基板のパターン製作 2025/04/03
 
プリント基板のパターンを作成しました。
手持ち部品を活用するのでパターンもそれに合わせてあります。
  
 
パワー段電源、高圧部電源、ヒーター回路電源、アンプ部
  
電源基板の製作 2025/04/07
 
電源基板を作りました。
アンプ部の整流回路とヒーターの定電圧回路です。
 
  
 
手持ちのガラスエポキシ基板がちょうどよい大きさだったので、アンプ部の整流部とヒーターの定電圧電源を収めました。 アンプ部のドライバー段の定電圧電源は別基板で組みます。 とにかく手持ち部品の活用を第一にしているので、コンデンサはやたら数が多くなっています。 この段階で購入した部品はブリッジダイオードのみとなっています。今回プリント基板を作成するにあたり新しい試みをしてみました。 プリント基板を自作する方法として広く知られているのは、コピー機を使って印刷したものをプリント基板に熱を加えて転写するものです。 しかしこれはかなり難易度が高いようで、ネットの画像を見てもきれいにできているのは少ないようです。 私も一度試してみたことはありますが、きれいにできず諦めてしまいました。 私は昔からパターンをカッターで切り出してマスキングをする方法をとっています。 最初の頃はメンディングテープを使っていました。 その後はインクジェットプリンターで印刷するデカールシートのようなものにパターンを印刷して、それを切り出していました。 それでアンプの基板位なら十分実用になりましたが、一つ問題は粘着が強いシートを使うと剝がしたときに糊が残り、エッチングに支障が出たりすることです。 今回シートの在庫が無かったので家の中を物色していたら数年前に買った自動車のリアガラスに貼る遮光フィルムがありました。 それを基板の前面に貼ってその上にパターンを印刷した普通のコピー用紙を両面テープで張り付け、カッターで切り出しました。 遮光シートは薄く、粘着力が非常に高くかつ剥がした後も糊分が全く残りませんでした。 これからはこの方法で行きたいと思います。 コスパも圧倒的に良いですし

 
プリント基板の作り方 2025/04/09
 
私流の安価できれいなプリント基板の作成方法です。
用意するものは生基板とインクジェットで印刷したパターン。
車の遮光用のウインドウフィルムです。
ICなどの細かなパターンは無理ですが、普通のアンプ基板であれば十分です。 パターン幅1mm位までは問題なくいけます。
 

 
 
左からウインドウ用フィルム、生基板、印刷したパターン
 
銅面は脱脂しておきます
 
銅面にウインドウ用フィルムを張り付けます
 
その上に印刷したコピー紙を両面テープで張り付け
 
カッターでパターンに沿って切り出します
 
エッチングするのでカッターの傷は気にしないで
 
手順としては
1.銅面の汚れとりと脱脂
2.銅面にウインドウ用フィルムを張り付ける (なるべく気泡ができないように)
3.パターンを印刷したコピー用紙を両面テープでフィルムに張り付ける
4.パターンに沿ってカッターで切れ目を入れ、エッチングする部分を剥がしていく
5.エッチング (液は温めておくと早く仕上がります)
6.エッチング完了後はすぐに十分水洗い
7.部品取り付けの穴をあける
8.フィルムを剥がす
9.パターンをクレンザーで磨く (メラミンスポンジにクレンザーをつけるときれいになります)
10.パターン面にサンハヤトのPラックスなどを吹き付ける
となります。
パターンの切り出しに少しコツがいりますが数十分で上の写真位は余裕で切り出せます。
ウインドウ用のフィルムの良いところは薄くて粘着力が強く、剥がした後に糊が全く残らないことです。
これは重要で、エッチング部に糊が残ると、エッチングがきれいにいかなかったりするので、これは仕上がりに大きく影響します。 インクジェット用のフィルムを使えば手間は減りますが、耐水性をうたっているものは結構糊が残ったりして手間がかかったりします。
上の写真はカット部があまりきれいに見えませんが、銅板に密着しているのは薄いフィルムなのでカット線はかなりシャープです。
何といってもコストが安いです。 
 
電源基板完成 2025/04/19
 
電源基板が完成しました。
  
 
パワー段の整流部とアンプ電源の整流部、ヒーター用電源
 
アンプ部の定電圧電源
    ← アンプ部のプリント基板も完了
 
電源基板の部品実装も完了し試運転を行いました。
ヒーターは6AU6 2本をパラにして、を三端子レギュレーターで作った12.6Vでの直流点火です。 ヒートシンクの放熱が足りるかの確認も行いました。 ヒーターの電源は12.6Vで300mAですが安定化前を16V程度に抑えてあるので殆ど熱くならないのでOKです。
アンプ部の定電圧電源は60V、60V、27Vをシリーズにして使います。 回路はHMA-9500Ⅱの75V電源の定数を変更して使っています。
手持ちの抵抗を使っているので大きさも種類もバラバラですが何とか所定の電圧を得ることができました。
これからアンプ部の部品実装です。
  
アンプ基板完成 2025/04/20
 
アンプ基板に部品を実装しました。
 
 
このアンプのコンセプトは手持ち部品の活用なので抵抗の種類もW数もバラバラとなっています。 W数は当然必要な容量を確保してありますが、1/2Wで良いところに2Wを使ったりとなっています。 赤い抵抗は2Wの金属皮膜抵抗で25年位前にホームページをご覧いただいた方から不要なので使ってくださいといただいたものです。 相当の数で抵抗値も数十Ωから数百Ωまで系列のほぼ全抵抗値がそろっていました。 これには今まで多くのアンプ製作に使用させてもらいました。 おそらく30年以上前のものかと思われます。
プリントパターンを裏返しにせず印刷して基板を作ってしまったので、ドライバー段のトランジスタの向きが逆になってしまいましたが、何とか他の部品と干渉することなく取り付けができました。
このアンプは電源トランスが全部で5個も必要で、電源のコンデンサも以前大量に購入したものを消化するために3パラにしているのでアンプの規模に比べてかなり大掛かりになっています。 適当な市販アンプのケースに組み込もうかと思ってオークションを物色中です。
  
電源部組立開始 2025/05/28
 
部屋を片付ける必要があったったためHMA-9500Ⅱのようなものの製作の前に電源部の組み立てを開始しました。
 
 
電源部とアンプ部共に300mm角のMDF板に乗せることにして、100均で調達したものに電源トランスと電源基板を取り付けました。
基板は動作確認済みなのであとは正式に配線するだけです。
トランジスタのヒートシンクはまだ取り付けていませんが、手持ちのアルミアングルで製作する予定です。
 
アンプ部組立開始 2025/05/31
 
アンプ部の組み立ても開始しました。
   
 
アンプ基板はまだ部品が幾つか未実装です。
ボリュームと入力端子も付いていません。 仮組の状態です。
電源部の上にこのアンプ部が乗る二階建て構造です。 細かなパーツも全て手持ち部品で間に合いました。
  
電源部完成 2025/06/04
 
電源部の配線が完了しました。
基板は動作確認済みなので特に問題はありません。
 
  
  
電源部とアンプ部の合体 2025/06/06
 
電源部とアンプ部を合体させました。
 
 
アンプ部と電源部を合体させました。
まだ仮組の状態ですがやっと形になってきました。
近日中に調整まで行けそうです。
 
アンプ部の配線開始 2025/06/08
 
アンプ部の配線を行いました。
 
 
とりあえず真空管周りの配線は終わりました。
真空管を挿してみると雰囲気が出てきます。 惜しいのは6AU6は見た目がいまいちのところでしょうか。 
まあ最終的にはケースの中に入ってしまうので見えなくなってしまいますが。
次はトランジスタ周りの配線です。 1週間以内には試運転ができそうです。
  
パワー段の配線完了 2025/06/09
 
パワー段のトランジスタ周りの配線が終わりました。
 
 
残りは温度補償用ダイオードの取り付けと入出力関係の配線のみです。
 
配線完了 2025/06/11
 
全体の配線が完了しました。
 
 
全体の配線が完了しました。
温度補償用のダイオードの配線が間延びしてますが、本組み立ての時にはヒートシンクに穴を開けそこを通せば配線が短くなります。
入力ジャックとボリュームの配線はまだですが、調整後に配線をしましょう。
最初に作った時よりもかなり大げさになってしましました。 プリント基板ではなく製作記事のとおり縦型ラグを使った方が良かったかもしれません。
最終的にケースに入れるときは300×400mm位には収まると思いますが。
いよいよ調整・試運転です。
 
調整でトラブル発生 2025/06/23
 
いよいよ調整に入ります。
記事の手順に従い真空管部分の電圧増幅段の調整を行います。 V2のプレートの配線を調整用に変えて電圧増幅段のDC出力電圧を+87Vとの間で0Vにします。 V1のプレートの抵抗を変えて0V近辺までもっていきます。 何回か交換後ほぼ0Vまで追い込むことができました。 ここまでは順調です。 その後配線を正規に戻し出力段の調整に入ります。
配線完了後にスイッチON。 とその瞬間AC100Vのヒューズが閃光とともに溶断しました。
原因を探るためにいろいろなことを段階的にやってみました。 結果、出力段のバイアス電圧が異常に高いことが分かりました。 これではパワートランジスタが短絡に近い位の電流が流れます。 恐る恐るパワートランジスタをトランジスターチェッカーでチェックしてみるとNPN側はショート状態、PNP側は導通なしでした。 お宝のパワートランジスタの昇天です。 しかし、元々ペアがあまりとれていないものだったのでショックは少ないですが。 その後さらに調べていくとV2に所定の電流が流れていないようです。 V2のバイアスがおかしいのか、トランジスタのバイアス回路がおかしいのか。 パワー段のバイアス用のトランジスタが動作していないようです。 再度一からチェックを始めなくてはいけません。
   
原因判明 2025/06/25
 
どう考えてもバイアス回路がこんな状態になるはずはないと頭をひねりながら再度バイアス周りのチェックを行いました。 そうしたら原因が判明しました。 何とプリント基板のパターンが1か所間違っているではありませんか。 V2のプレートがバイアス用トランジスタのエミッターに繋がるべきところが何とベースに繋がっているではありませんか。 パターンは何回も見直しているはずなのですが、何で間違うの、、、というのはいつものパターンで、これこそ笑劇場大入満員というところでしょうか。 原因がわかって一安心。 ついでに調整の際の配線切替や調整用抵抗の交換がしやすいようにポストを立ててみました。
これでいちいち調整時に何回も基板を裏返すことも無くなります。
今回もケアレスミスですが、パワー段のトランジスタを飛ばしたのは大笑いでは済まない上演でしたね。
原因が分かったのでこれで大丈夫かとは思いますが、まだまだ何かが起きるかもしれません。