耳の特性と音像定位についての考え

耳の周波数特性は耳の構造によって影響を受けるということのようですが、そのことが良くわかる実験をしてみた結果です。 別に数値的な検証をしているわけでもないので、こんな影響もあるのだなという程度です。 遠くの音を聞くときや分かりづらい音を聞くときに手のひらを耳たぶの後ろで広げて聞くことがあります。 いわゆる耳に手を当てて聴くという状態です。 そうすると音が聞きやすくなることは経験上知っていることです。 そうすることで集音機的な効果で耳に入る音圧が高くなるのでしょう。 しかしその場合は多少音の変化が生じることも知っています。 そこで実験ですが、耳たぶの様々な部分を人差し指で後ろから前に押し出してみてください。 そうすると音の聞こえ方が変わってくるのがわかると思います。 特に耳の穴の近くを押しと結構音が変わります。 柔らかい音になったり刺激的な音になったり、私はちょっとびっくりするほどの変化を感じました。 ひとの耳の周波数特性は、耳たぶの大きさ・形状やひだの状態・内部の形状の差でかなり違ってくると思われます。 かといって人それぞれ大きく違った音を聞いているのではなく、経験を基にした脳の処理でほぼほぼ同じような音として認識しているのかもしれません。そこで気になるのが音の定位というもので、ネットで少し検索してみました。 音の方向の判断としては左右の耳に届く音の音量の差と時間差(位相差)であり、それには耳や頭の形状も関係(頭部伝達関数と言うらしい)しているそうです。 また、実音源の定位と音像の定位という意味は異なるし、視覚の効果が音声知覚に影響を与えたり、音源定位に影響を与えたりするとのこと。 さらにはプラシーボ効果というものもあります。 それ以上に一番影響があると思われるのは部屋の反射音や残響でしょう。 音は頭で聞くともいわれるように、人間の賢い脳は生きるために必要な様々な処理をやっているはずです。 そうするとオーディオのような2チャンネルの再生装置における音像定位というものは様々な要素で変わってくると言えそうです。 オーディオでは良くこの機材、ケーブルを変えたら音の定位が良くなったと言ったりします。 しかし、リスナーは音源の製作時の定位を知るすべがなく、自分の再生装置で得られる定位の中で判断するしかありません。 複数のユニットを使ったスピーカーはネットワークによってユニットごとの位相がずれたりするので、変えた場合は音の定位が変わることはあるでしょう。 しかしアンプの場合は可聴帯域で左右チャンネルの位相が異なったり、音量が左右で違うということはまずないでしょうから(製品の製作精度が悪ければあるでしょうが)、アンプを変えて音の定位が変わるということは基本的には無いと考えます。 しかし音質が変わるということはあるので、その変化がリスナーの聴覚との相互関係で定位が変わって聞こえるということは可能性として残ります。 それらのことを考えると、音の定位の良し悪しと言うのは絶対的なものではなくリスナー自身が頭に描いている定位とマッチしているかどうかということになりそうです。 音像定位に関してはオーディオ機器の性能差よりも、リスナー自身の個人差が大きいと言えそうです。 結論としては、スピーカーやアンプの種類(真空管、トランジスタ、デジタルなど)やソースの種類(レコード、CD、デジタルなど)を自分が一番心地よい音聴ける組み合わせを探すことが趣味としてのオーディオの楽しみではないかと思います。 私のように可聴帯域が狭まったり、音に鈍くなってくるとオーディオに求める方向性も変わってきます。 味覚の好みも歳をとるごとに大きく変わってきていますし。

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